素材の基礎知識
2017/08/02
ポリ塩化ビニル(poly vinyl chloride:PVC)とは
塩化ビニル CH2=CHClの重合体。
塩化ビニルはアニオン重合やカチオン重合しにくく、ラジカル重合により重合体を得る。
塩化ビニルは常温常圧で気体のため、加圧し液化させ、懸濁重合法により製造する。
密度1.3~1.4g・cm-3、軟化点70 °C前後、170 °Cで溶融し
190 °C以上で熱分解して塩化水素を発生する。
耐水性、耐酸性、耐アルカリ性、耐溶剤性などは良好であるが、
シクロヘキサノン、テトラヒドロフラン、ニトロベンゼンなどに可溶。
低分子量のものはエチルメチルケトン、ジオキサンなどにも溶ける。
無色透明な樹脂で、塩素という極性基をもつため分子間力が強く、常温で非常に硬い性質を示す。
また、他の樹脂と比較して熱や光に侵されやすく、脱塩化水素して共役二重結合が生成するため
変色しやすく、必ず安定剤を加えておく。
可塑剤や酢酸ビニルを添加することで、硬質塩化ビニル(rigid PVC)と軟質塩化ビニル(flexible PVC)に区別している。
需要構成では、住宅建築・土木関連用途が最も大きい。
土木建築分野では、パイプ(上下水道用、農業用水等)、平板、波板、雨どい、電線被覆、異形押出品等
住宅・内装分野では、樹脂サッシ、樹脂サイディング、タイルカーペット、床材、壁紙、化粧合板、レザー等
包装分野では、ラップフィルム、ブリスター、薬品包装、仕切りトレー等
園芸分野では、農業用フィルム、ホース、チューブ等
日常の場面では、手袋、長靴、雨具、スライダーケース、コースター、デスクマット、エプロン、保冷グッズ、バッグ、マーキングフィルム、空気入り製品(浮輪、プール、ボール、卓上POP、大型POP)、血液バッグ等
で多用されている。
*参考文献 「化学辞典」東京化学同人 、塩ビ工業・環境協会