SDGsと身近な素材

2015年の国連サミットにて「持続可能な開発の為の2030アジェンダ」が採択されたことにより、その中で記載されているSDGs（Sustainable Development Goals：持続可能な開発目標）に対する関心が高まっています。目標において定められた17のゴールのうち、少なくとも12が気候変動対策、自然資源保護等環境に係る内容となっています。

プラスチックは、優れた加工性や耐久性により、文具や容器包装をはじめ、様々な用途で使われている材料です。しかし、プラスチックについては石油資源の減少や海洋プラスチックごみなど、製造・廃棄における環境への負荷が問題となっております。特に、2020年7月からはレジ袋が有料化されたことが記憶に新しいと思います。

一方、天然皮革はプラスチックを含む石油製品とは異なる生物由来の素材であり、特に牛皮については食肉加工の副産物が原料となっているため、環境に優しい素材です。しかし、その生産工程において大量の水が必要であることや、なめしや染色などの工程から発生した、排水の不適切な処理による水質汚染が指摘されています。

当社は「合成樹脂素材の加工商社」として、1947年の創業以来プラスチックに関する各種商材を取り扱ってきました。グループ会社である株式会社エヌ・コバヤシにおいても、1978年の創業以来、天然皮革に関する事業を展開してきました。当グループではSDGsを重要な課題と捉えており、その取り組みとして事業展開をしている環境配慮素材を次の項目にまとめました。

環境配慮素材について

　当社の事業として展開している環境配慮素材は、大きく分けて3つです。

1.リサイクルの観点から製造上での端材や使用済みの製品を原料とする 再生素材

　再生素材として一番身近なものとして、PETボトルを想像すると思いますが、市場にはその他にも、クリアファイルなどに使われるポリプロピレンや、デスクマットなどに使われるポリ塩化ビニルなども再生素材として利用しています。また、皮革製品の製造上発生する端材を粉砕し、プラスチックと混ぜてシート状にした再生皮革は、節水につながるだけでなく、個体差がある天然皮革とは異なり加工性も優れています。

例：再生プラスチック、再生皮革


2.リデュースの観点から植物由来の原料を使用した バイオマス素材

　バイオエタノールが石油を使わない燃料として注目されたのと同様に、従来石油より生産されていたプラスチックについても、植物由来成分で一部置き換えた製品が研究・開発されています。そのなかで、当社で取り扱っているライスレジンは、食用に適さない古米等、廃棄されてしまうお米を混合することで、石油の使用量を軽減することが出来ます。
　ヴィーガンレザーは、動物由来の素材を使用せず、植物由来を主とした素材で、革の形状・質感を再現しております。近年では、キノコやパイナップルなど菌や植物を利用したものが開発されていますが、当社では廃棄予定のリンゴを使用したアップルレザーを取り扱っております。素材の約70％がりんご廃繊維や木材パルプ等の再生可能資源を使用しているため、石油資源の観点にも配慮した素材となっております。

例：ライスレジン、ヴィーガンレザー


3.リデュースの観点からプラスチックを使用しない 代替素材

　1,2でご紹介した素材は、ほとんどの場合一定量のプラスチックが含まれています。プラスチックごみを無くすために、植物などの天然素材で代用するアイデアも生まれています。当社では、特に紙を使用した製品をご提案しております。植物由来で、再生紙として再生が可能であるため、プラスチックごみとして排出されることは無く、石油資源の消費を軽減することが出来ます。ただし、プラスチックの特長である透明性や柔らかさは大なり小なり失われてしまうので注意が必要です。

例：紙製ファイル

環境配慮素材について、大きく3つに分けてご紹介させて頂きました。世間の環境問題への注目と共に脚光を浴びている分野ではありますが、製品への使用には注意が必要です。再生プラスチックにおいては、再生材使用による黒点の発生、再生材料の色に由来する透明度の低下などが発生する場合があります。また、再生皮革においては質感を再現しきれない場合もあります。素材選びや加工への工夫により、従来の石油由来の製品と同様の仕上がりに近づけることもできますので、まずは当社までご相談ください。